生涯スポーツとは、幼児期から高齢期に至る各ライフステージにおいて、
個人の年齢、体力、生活スタイルにあった運動やスポーツを継続して楽
しむこと。

1)健康づくりとしてのサイクリング
 運動不足的な現代人の健康づくりにとって、重要な体力の要素は筋力、全身持久性
(スタミナ)、柔軟性の3つである。その中でも最も重要なのは全身持久性であるが、
サイクリングは全身持久性を高めるエアロビック運動としての効果が実証されている。
 また、サイクリングはペダルをこぎ、上腕により身体を支持することにより、脚筋
や上腕筋、腹筋の筋力や筋持久力の改善に効果があることが認められている。このよ
うにサイクリングは、手軽にできる健康づくりの運動として、その生理的効果が高く
評価されている。

2)ふれあいの機会としてのサイクリング
 現代は技術革新やハイテク化が進み、高度情報社会が到来してきた。しかし、情報
化が進行すればするほど、逆に人間同士の直接的なコミュニケーションが希薄になり、
ソフトなふれあいと、“ハイタッチ“が求められている。
 サイクリングは、ひとりでも爽快な活動だが、仲間や友人とのツーリングの楽しさ
は格別である。また、近年、30代や40代のファミリーやオートキャンパーたちの問で、
ファミリースポーツとしてのマウンテンバイクやサイクリングの人気が高まっている。
 家族がふれあう機会として、サイクリングの価値が認識されてきたのである。この
ように、サイクリングは個人的な活動としてだけでなく、交流やふれあいの機会とし
て注目を集めるようになっている。

3)自然と共生できるサイクリング
 1980年代の後半から、人々の自然志向が高まっている。自然志向の高まりと共に、
アウトドア系のスポーツ・レクリェーションに対する関心が強くなっている。また、
近年の地球資源や自然保護といったエコロジーのイメージと重なっていることが、ア
ウトドア・ブームに拍車をかけている。
 サイクリングは、単に生活や移動の手段としてではなく、山河や高原、そして海浜
地域において、大自然とのふれあいを可能にする。また、自然の中を自らの力により、
自由に移動できる楽しさがある。そして、自動車とは違って、排気ガスによる大気汚
染とは無縁である。
 しかし、最近では信州などにおいて、山林や湿原へのマウンテンバイクの乗り入れ
により、自然環境に対する問題も指摘されている。今後は、山道や高原において、自
然やハイカー・登山者と共生できるサイクリストのマナーが求められるだろう。

4)生涯学習の機会としてのサイクリング
 近年、学校卒業後も、社会人の学習意欲が高まり、生涯学習に対するニーズが高まっ
ている。サイクリングは、自らの意志で移動できるという特性から、地域の歴史・文
化史跡の学習機会となりうる。
 また、自由時間の拡大と生涯スポーツイベントの発展により、“スポーツ・ツーリ
スト“が増えている。スポーツ・ツーリストとは、マラソンやランニングそしてウォー
キングなどのスポーツイベントに参加するだけでなく、大会周辺の文化施設や遺跡な
ども観光するツーリストを指している。また、観光地において、自動車や電車、バス
等の交通手段から乗り換えて、レンタサイクルにより観光行動をするツーリストも含
んでいる。
 このように、サイクリングは生涯スポーツとして「健康づくり、ふれあいの機会、
自然との共生、生涯学習の機会」となることができ、これからの発展が期待されるだ
ろう。

日本サイクリング協会指導者研修資料より